連句作品の紹介
巻24「浅蜊の巻」2005 2 26 起
2005年4月4日 尾
01 セントレア人、人、人に春一番
02 浅蜊掘りにはちよつと早いぞ
03 店先に蕗の芽タラの芽売られいて
04 昔も今も香りあらたか
05 高速の開通近く月渡る
06 松茸山の夜警厳格
07 鶺鴒の校庭まで来てお辞儀する
08 生まれる子供は姫か坊主か
09 うちらはねネットで知った仲ですねん
10 テレビ会社の冴えぬ重役
11 六本木あれやこれやで有名に
12 iPodなど売れ行き好調
13 我楽多の溜まり溜まって夏の月
14 暑いことかな暑いことかな
15 叩けども動かぬ時計電池切れ
16 鄙には稀な花の艶やか
17 遠足の列に加わる紋白蝶
18 紙風船は大屋根を越え
19 半年で壊してしまうパビリオン
20 次から次と機種を更新
21 懐かしや黄金バットの紙芝居
22 幼なじみは飴とメンコと
23 車椅子二つ並べて日向ぼこ
24 寒念仏の遠きざざめき
25 御赦免の舟の着きたる離れ島
26 水平線へかもめ消え行く
27 見慣れたる路面電車の走る街
28 梢を守る赤い柿の実
29 牛の産無事に終わりて朝月夜
30 ビルの谷間に露のしつとり
31 回廊に秋の潮満つ厳島
32 NHKさん源平が好き
33 紅白の幕を回らす婚の家
34 坪も小庭もかぎろひの立つ
35 アングルを変えても変えても花万朶
36 三脚たたみ帰る春宵
巻23 「子燕」の巻 2004 6 / 1起
01 子燕の生れたるらしや今朝の晴
02 苗代苺赤く艶やか
03 凛々しくもギリシャ神話の像に似て
04 煙草燻らす黄昏のころ
05 月明かり電灯消して飲むワイン
06 期待通りに蟋蟀の鳴く
07 紅葉を愛でて木曽路の石畳
08 名物団子旗のひらひら
09 元彼に会ってしまった喫茶店
10 お世辞笑ひが戀を引き止め
11 過去は過去未納未加入何のその
12 恥じらひがちの花婿の声
13 冬月も客と思へば暖かし
14 焚き火の煙靡く浅間嶺
15 戦争を趣味とするのかあの人は
16 読売勝つ日は新聞を見ず
17 根尾堤話題あれこれ草を摘む
18 寒山拾得蜂に刺さるる
19 春雨の静かに濡らす大伽藍
20 無常の風の吹き抜けて行く
21 選挙戦年金イラク憲法と
22 嘆声罵声怒声尻目に
23 梅花藻の揺れて涼しき地蔵川
24 手に手を取って下る夏闇
25 あの時のプリクラながめにんまりと
26 老人までが顔文字を書く
27 イケメンやセカチュウ現象何じゃそれ
28 猿の風流鳥羽僧正忌
29 月明かり奈良の古刹のひそとして
30 木影黒々秋は深まり
31 ケ−タイの待ち受け画面変えてみる
32 ネットじゃブログやたらトレンド
33 欠陥を隠し今日まで人と物
34 世は世ながらかげろふの世
35 仁王像修復成りて花の寺
36 参道の果て尽くる三月
巻22 「春場所」の巻 2004 3/28 起 01 春場所の横綱連戦連勝す 修 02 ただ純白に庭の木蓮 昭 03 たかだかと雁がね北へ向かふらん 修 04 湖面にゆらゆら浮かぶ島影 昭 05 振り向けばお盆の月が山際に 修 06 旧都の跡に稲田広がる 昭 07 柿食ふと鐘が鳴るてふ法隆寺 修 08 技術進歩にまたも驚く 昭 09 情報の理論説く人様々に 修 10 おねだり品はパ−ル大粒 昭 11 駆け落ちの二人裸足で行く砂漠 修 12 勝手な行動かける迷惑 昭 13 「自衛隊」と言ふ軍隊の幕営地 修 14 チグリス川にかかる夏月 昭 15 文明の発祥の地また滅びの地 修 16 ネタの次々テレビ番組 昭 17 海峡を渡る前線花便り 修 18 起床促す鳥の囀り 昭 19 今年また雨の高山祭りなる 修 20 心癒さる伝統工芸 昭 21 清姫もまた忠兵衛も戀ゆゑに 修 22 浪花のことは浅き夢なり 昭 23 政治家は収賄のみか詐欺・未納 修 24 気分直しに替へる絨毯 昭 25 アラスカの冬撮る人の厳しさよ 修 26 湯舟に浸かり歌ふ鼻歌 昭 27 野辺送り済ませて帰る二人連れ 修 28 ハ−ブの寄せ植え育つ楽しみ 昭 29 北国の文は未だし蟻穴に 修 30 港夜景を飾る満月 昭 31 友ありて炙つた烏賊で酌む新酒 修 32 アテネ目指して走る若者 昭 33 スポーツも平均寿命も女子のもの 修 34 陽炎立つ中貨車の入れ替え 昭 35 撤退の私鉄の駅は花明かり 修 36 うつらうつらと春の一日 昭 巻21「 春一番」の巻2004 2/16 起 3/28 満尾 01 春一番吹けりと記すや我が日記 昭 02 電網頁色も麗に 修 03 例年の確定申告済まし来て 昭 04 砂掛け婆も子泣き爺も 修 05 町並みを統べるごとくに月今宵 昭 06 榧の実落つる音のかそけく 修 07 通学路行つたり来たりの鬼やんま 昭 08 幼児虐待少女誘拐 修 09 包丁を研いで欲しいと妻が言ふ 昭 10 山姥住むてふ飛騨の萩原 修 11 入籍は町村合併する日にね 昭 12 恋の季節へ揚げる嬌声 修 13 ピアノ曲流れる隣家月涼し 昭 14 古刹の庭ですする甘酒 修 15 牛もダメ鶏もダメなら人もダメ 昭 16 足取り確か花の前線 修 17 若き日の教へ子来たり春の午後 昭 18 昔を今に返す貝寄せ 修 19 自動車の汚れ気になる土降る日 昭 20 旅の夢などドイツ語で見る 修 21 メ−ル打つ少女の指の軽やかさ 昭 22 思ひ燃え立つ黄昏れの頃 修 23 二人ならいずこもお城冬の宿 昭 24 信州納豆豆も極上 修 25 中東に平和はありやテロ続く 昭 26 怨敵退散二千年来 修 27 ごめんなさい間違いでしたとなぜ言へぬ 昭 28 この野の道は有明の路 修 29 御僧の読経静かに装ふ山 昭 30 藻に住む蟲の鳴き聲もせぬ 修 31 島と島結べる橋に秋の潮 昭 32 綾取りごっこ飽きるともなく 修 33 昭和村大正村に明治村 昭 34 南朝北朝酒旗のはためく 修 35 花咲くと書きてハガキを投函す 昭 36 大阪場所も千秋万歳 修 巻20「節分会」の巻 2003 2/3 起 4/29 満尾 01 青鬼も凍えているぞ節分会 02 子らも帰宅し囲む牡蛎鍋 03 久々にカントの書物繙きて 04 腹這い癖の抜けぬことかな 05 大屋根を鏡と研いで昇る月 06 蜻蛉一群れ古き町並 07 引き抜けば小芋色白ぞろぞろと 08 反戦運動世界各地に 09 パラボラにカラス止まりたる夕間暮れ 10 周り気にせず寄り添う二人 11 馴れ初めの恋がいつしか泥沼へ 12 サマーコンサート覗く満月 13 涼風が墓石の横を通り抜け 14 獨坐観心色即是空 15 北斎の富士煤けたよまづ一杯 16 ネオンがにじむ雨もまたよし 17 撮り来り撮り去てまた花の本 18 春風に乗る讃美歌の声 19 木の芽時木の芽田楽蕨餅 20 用心召されよ新型肺炎 21 更迭へ市長選挙のない国は 22 喧噪避けて引っ越すアザラシ 23 獣みな恋の季節に入る公園 24 写真の整理 時雨聞く夜 25 百歳を越え懐かしき報恩講 26 時は移れど変わらぬ景色 27 近頃の電池は結構長持ちで 28 藁塚もっそり月渡る野に 29 昔物語の壁の蟋蟀 30 自然薯堀りにと誘いの電話 31 美濃の山飛騨の山々眠り初め 32 糸引き工女の通りし道とや 33 つれづれに文庫本など取り出せば 34 ただ黙々と春耕の人 35 吊り橋を渡り花嫁迎へたる 36 木陰に数羽引残る鴨 巻19「萩」の巻 2002.9.12 起 2003年1月5日 満尾 01 萩咲くや笛の音冴ゆる能楽堂 02 野分きめいたる一陣の風 03 秋あかね今日はいづくを目指すらん 04 型も程々色もほどほど 05 月光に映し出されて火蛾の舞 06 麦の畑に潜むのは誰? 07 かくれんぼ「ご飯ですよ」と呼ばるまで 08 血の粛清はかの国にもか? 09 真相を聞けば驚くあの二人 10 灰になるまで殿ご恋しと 11 文化財壊してまでも意地を張る 12 町の活性活性酸素 13 寒月の居て驚きぬ藪の中 14 狸と話す武者修行の果て 15 ヒ-ロ-の次々出てはすぐ消える 16 よどみに浮かぶうたかたの世 17 花の雲思わず歌を口ずさむ 18 昔を今に小野小町忌 19 教室の窓からシャボンの昼休み 20 さざめき遠くうつろなる目 21 あちこちでたむろしているジベタリアン 22 田舎の町も都市に変わらず 23 当節はティファニ-ダイヤも通販で 24 金にまかせてかき口説く恋 25 不如帰欅の大樹に来て居りて 26 牛車を止めて早乙女を見る 27 会心の作を選びて写真展 28 箱物行政いい加減にしろ 29 廃線の赤き鉄路に客の月 30 銀杏もみぢを敷き詰めて居る 31 再会を喜ぶ人に高蜻蛉 32 岸壁離(さか)る夜の釣り舟 33 無農薬これが自慢さ我が農園 34 蕗の芽取りに登る山路 35 ライトアップされしお城と競う花 36 有情無情を包む黄塵 第18巻 連句「吊橋」の巻 2002・7/29〜9/7 01 プリンタ−もゴトリと止まる暑さかな 一 02 けだるく聞こゆ蝉の鳴き声 昭 03 谷川を渡す吊橋掛け替えて 一 04 別荘いかがと案内届く 昭 05 月影の自づ漏り来る寝所なる 一 06 秋明菊の蕾ちらほら 昭 07 海原は波静かにて海猫(ごめ)帰る 一 08 CG処理の映画の迫力 昭 09 久々に演芸場は満員で 一 10 定番物の梅川忠兵衛 昭 11 当節の恋は出会ひ系サイトから 一 12 変更たびたび携帯番号 昭 13 地獄にも仏地下牢に冬の月 一 14 1時間待ちのスキ−ゴンドラ 昭 15 なみなみと酒一升を注ぎ込み 一 16 花匂う中旧友来たりぬ 昭 17 戦犯も無差別にして靖国祭 一 18 芽吹く大木枝の先々 昭 19 嫌なもの演歌・官僚・自民党 一 20 堂々巡りのテレビ討論 昭 21 アラブでは石打の刑今もなほ 一 22 大手企業の偽装工作 昭 23 中年の恋は互いに騙し合ひ 一 24 鰹のたたき夕餉の膳に 昭 25 夏蕪夏の大根若牛蒡 一 26 先が気になる連続ドラマ 昭 27 米国とユダヤ連合テロ仲間 一 28 決めかねている五輪候補地 昭 29 奥山にめづる人無く月澄める 一 30 籠に入れられ売らる鈴虫 昭 31 冬近くハローワークに人群れて 一 32 定期の金利上げてよなもし 昭 33 ご機嫌はいかが古刹の猫会議 一 34 どこまで行こうか春風の中 昭 35 花婿の恥じらひがちに出迎ふる 一 36 狭き庭にも蝶の舞ひ飛ぶ 昭 第17巻 連句「梅雨入り」の巻 2002.6.10〜7.25 01 梅雨入りや通勤バスの人いきれ 昭 02 僅かに風を送る小扇 一 03 念入りに松の盆栽眺めゐて 昭 04 そつと立ち去る黒猫の影 一 05 襲名の演能はねて月さやか 昭 06 地を這ふ如くに焼き味噌の香 一 07 下紅葉左右に見つつ川下り 昭 08 石ころごろごろ声ころころ 一 09 次々にネタ事欠かぬワイドショウ 昭 10 後ろ指さす人また指され 一 11 芸のため肥やしにせんとの恋もあり 昭 12 動機は不純援助交際 一 13 住所録整理進まず冬の月 昭 14 このごろ焚火もままならぬもの 一 15 サポ−タ−思ひ思ひに顔を塗る 昭 16 村の芝居は役者不足で 一 17 花陰の番組表は肉太に 昭 18 今ぞ昔の春闘騒ぎ 一 19 犬連れて散歩帰りに目刺し買う 昭 20 ガーデニングが大流行じ? 一 21 この度も餅より粉ナが高くつき 昭 22 ダイヤモンドか真珠オパール 一 23 旅先で金魚すくいの二人連れ 昭 24 汗だくなれど絡む両足 一 25 鬼瓦じっと西向き何見てる 昭 26 名人芸も絶えて久しく 一 27 独楽回し皿傘回し目を回し 昭 28 雲の懸け橋昇る満月 一 29 子育てを二度も果たして去る燕 昭 30 新酒の出来はどうだったかしら 一 31 ダチカンと方言交えて飛騨土産 昭 32 盆地を渡る国分寺の鐘 一 33 大銀杏空を支えて揺るぎなし 昭 34 いづく行くらん帰る雁が音 一 35 城跡に通じる道の花明り 昭 36 白酒に酔う姫の一行 一
第16巻 連句 「山の寺」の巻 2001 10 21〜2002.4.7 1 柿畑の尽くる辺りや山の寺 修 2 いらっしゃいませと百舌の囀り 昭 3 有り明けに櫓を漕ぐ音の過ぎゆきて 修 4 映画のワンシ−ン夢の中にも 昭 5 張り子の虎の吼えることかな 修 6 ただ真っ直ぐに山茶花の垣 昭 7 新規開店のちらし小春日和 修 8 破産合併世相様々 昭 9 午年を待ち兼ねるごと嘶ける 修 10 源氏の恋に小百合も一役 昭 11 セクハラと言われて今は須磨の浦 修 12 すったもんだで首のすげ替え 昭 13 豊作の家庭菜園茄子胡瓜 修 14 月も招いて味わう地ビ−ル 昭 15 アフガンの山脈渡る秋の風 修 16 罪なき人の悲鳴にも似て 昭 17 ああ無情」「巌窟王」にロマンあり 修 18 還暦総理紋付袴 昭 19 この春も奇妙な連句連綿と 修 20 長々続く蒲公英堤 昭 21 鷽の鳴くだらだら道を旅蕪村 修 22 スケッチ帳を小脇に抱え 昭 23 柳ケ瀬は寂れ昔の恋の歌 修 24 雨に濡れてる閉店看板 昭 25 長年の友を集めて灘の酒 修 26 ライトアップの冬の大滝 昭 27 砕け散るつららもあって実朝忌 修 28 一日かけて書類の整理 昭 29 古の夢に目覚めて夜半の月 修 30 根尾の山々満ちる秋色 昭 31 メニューには零余子もあるぞドライブイン修 32 肉が嫌われ野菜も暴落 昭 33 次々の離党騒ぎは尻尾切り? 修 34 陽気に浮かれ地虫這い出る 昭 35 待ち待ちて花の名残をめづるかな 修 36 子ども御輿も春風の中 昭
第15巻
連句 梅の実 2001 6 10 起
01 梅の実や路上に一つ午後の雨 昭
02 鼠花火にはしゃぐ孫達 修
03 新車ショウ余分な装置の付きすぎて昭
04 風のまにまに波のまにまに 修
05 村営の温泉宿に昇る月 昭
06 近ごろ鹿も里へ来るとか 修
07 原爆忌白髪目立つ参列者 昭
08 亜細亜軽視の米国崇拝 修
09 翔り来て生ゴミ漁る鴉二羽 昭
10 デートの場所はあちらこちらに 修
11 そもそもはメル友なんです私たち 昭
12 恋の駆け落ち昔のことさ 修
13 義太夫の語り切々冬月夜 昭
14 炬燵に潜る雄の三毛猫 修
15 プロ野球日本のことは後回し 昭
16 小柳ゆきの声は一流 修
17 カ−テンのゆらりと揺れて花の窓 昭
18 涙は見せぬ春の旅立ち 修
19 あちこちで土筆の坊やが顔を出し 昭
20 ここの石器は偽物ばかり 修
21 新しい歴史教科書ケチがつき 昭
22 Jack and Betty太郎と花子 修
23 鮎よりも竿の自慢の解禁日 昭
24 水芭蕉・韮・茄子・冬瓜 修
25 ス−パ−で新婚夫婦寄り添って 昭
26 セックスレスが増える傾向 修
27 聞くも嫌幼児虐待次々と 昭
28 是生滅法時は黄昏 修
29 人間の愚かさ笑う望の月 昭
30 悲しげに聞く虫の溜息 修
31 秋日受けコスモスゆらりゆ−らりと 昭
32 ひとまとめにして捨てる郵便 修
33 仕事終え湯船に浸かって練る付け句 昭
34 山里にまだ蚕飼する家 修
35 花の下祭り御輿も腰下ろし 昭
36 春うららかにうららかの春 修
「鴬の涙」の巻 2001.2.14
01 鴬の涙なるべし今朝の雪 修
02 心うれしきバレンタインデ− 昭
03 ぼんぼりの翳にめ雛のほほ笑みて 修
04 作者不詳の古き掛け軸 昭
05 荒涼と仮想の月の昇りたる 修
06 秋物セ−ルのチラシどっさり 昭
07 篭に盛る柘榴加州の砂漠の香 修
08 IT革命距離も感ぜず 昭
09 自民党民主党やら自由党 修
10 おろそうかしらお腹の子供 昭
11 恋無情南無阿弥陀仏水子の忌 修
12 返せ戻せよ諫早湾を 昭
13 テーブルのアイスコーヒー汗ばめる 修
14 ひまわり畑にまん丸な月 昭
15 古の歌の調べの懐かしく 修
16 上映映画横文字ばかり 昭
17 わが翳を水に映して花の宵 修
18 卒業式に歌う賛美歌
19 平和惚けつくづく憂ふ荷風の忌 修
20 愛八姐さん純な生き方 昭
21 ギャルママのお通り渋谷の夜は更ける修
22 お店でばったり初恋の人 昭
23 不況風歯抜けのやうな町を吹き 修
24 風邪の薬が保険金生み出す 昭
25 季寄せには狸汁など載つてゐる 修
26 ネジがはずれて椅子がガタガタ 昭
27 教科書もいよいよ自己中心主義に 修
28 神経問はるる幼児虐待 昭
29 人の子も親も不信の夜半の月 修
30 心静まる鈴虫の声 昭
31 濁り酒濁れるを飲む信濃みち 修
32 道祖の神をカメラに収め 昭
33 いずこからともなく閻魔の使者の声 修
34 構造改革期待ほんのり 昭
35 花無心山里寂寞白昼夢 修
36 入園の児の笑みや満面 昭
連句
巻13 「新世紀 」の巻
2001年1月1日〜
2月12日
01 新世紀明けゆく今朝や光満つ 昭
02 初春祝ふごまめ数の子 修
03 湖の鳥も北へと帰るらん 昭
04 寄せ来る波のゆらりゆらゆら 修
05 野遊びに興ずる子らに上る月 昭
06 蜥蜴も穴に入るころほひ 修
07 何となく空気も違う古き町 昭
08 暖簾も垢で黒光りする 修
09 復刻の飴のデザイン懐かしく 昭
10 旧態依然愛知万博 修
11 馴れ初めは去年の夏のアルバイト 昭
12 恋の成就を願う神殿 修
13 濁り酒近江の酔いか月の道 昭
14 さざ波に浮く美女の俤 修
15 選挙戦終わりて今日は投票日 昭
16 春の手袋捨ててにんまり 修
17 メギツネの尻尾見せけり花の宵 昭
18 お伊勢参りの宿のひととき 修
19 草餅の並ぶ露店のア−ク灯 昭
20 ヴェネチアガラス淡い輝き 修
21 結婚の祝いの品を探してる 昭
22 十年越しの恋が実って 修
23 急接近させて胸をばなで下ろす 昭
24 冬ごもりしてゲーム三昧 修
25 バ−ジョンのアップの如く積もる雪昭
26 小銭山盛りお賽銭箱 修
27 低金利どこかで誰かが笑っている 昭
28 亡者の谷は紅葉色濃く 修
29 自刃せる遺跡を照らす秋の月 昭
30 焼き栗香る町のひそやか 修
31 浅漬けでまずは落ち着く今朝の膳 昭
32 古女房の古いたわごと 修
33 新聞のテレビの欄はよく調べ 昭
34 都はるみの春の公演 修
35 茶会席着物まぶしき花の昼 昭
36 風船売りの黙し過ぎ行く 修
連句「白露」の巻
元住連句会
2000.9. 首 12.15 尾
1 掃除機の音途絶えして白露かな 修
2 本土を狙ふ台風二つ 昭
3 客間には屁つぴり虫の集ふらん 修
4 女性の多き昼の食堂 昭
5 中庭の池を過ぎゆく朧月 修
6 新築校舎に渡る春風 昭
7 姫虻の名も優しくて微睡める 修
8 薬の切れて虫歯の疼く 昭
9 今月の表紙は好きな娘にて 修
10 ファンレタ−を書き続けたり 昭
11 新しいソフトが出ると行列し 修
12 ゆつたり渡る避暑宿の月 昭
13 忙しい時にこそあれ蝉の声 修
14 雌伏4年の金の輝き 昭
15 須磨の浦明石の浦に年を経て 修
16 琴を弾きつつ故郷偲ぶ 昭
17 人込みに紛れ一ひら花の舞 修
18 春日のどかになびく羽衣 昭
19 うち出でて見れば波間の浅蜊舟 修
20 反対尻目に空港建設 昭
21 爆音におびえながらも葱を買う 修
22 一人寂しく湯豆腐つつく 昭
23 失恋の痛手を波に洗はせて 修
24 話題はもつぱらメル友の数 昭
25 店内は冬日一杯の女子生徒 修
26 見てもらいたい舶来セ−タ− 昭
27 桐箪笥洋服箪笥燃える塵芥 修
28 ドウダンもみじ照らす夕月 昭
29 秋風がニーチェのページを捲りたる 修
30 吊しの柿の簾の芸術 昭
31 鼻歌の気分で朝の戸を開くる 修
32 天気予報がはずれて快晴 昭
33 せはしなく兎は小屋を駆け巡り 修
34 春霞一色故山茫洋 昭
35 駅前は花が名所の人だかり 修
36 読書の日永欠伸を一つ
昭
連句「夏の場所」の巻
元住連句会
2000年 5月起
表 01 大関や進退様々夏の場所 昭 02 座つてゐても汗の流るる 修 03 女高生ケータイ化粧に明け暮れて 昭 04 ぞろぞろ渡る横断歩道 修 05 喧噪を消してくれるかビルの月 昭 06 色鮮やかに茹でた枝豆 修 裏 07 法師蝉啼く故郷はありしまま 昭 08 不意に飛び出す丸刈りの子 修 09 近頃は蚤や虱も懐かしき 昭 10 遊女に惚れる黄昏のころ 修 11 法律が出来て追っかけ思案橋 昭 12 反吐の出さうな首相・十七 修 13 神々もお見通しなる寒の月 昭 14 凍み豆腐もある仕出し弁当 修 15 一日にして成らずもの老婆とか 昭 16 渋いことかな渋いことかな 修 17 掛け軸の夕日を受けて花の寺 昭 18 無間の峪を春の風吹く 修 名残表 19 籾を蒔く今年も豊作信じつつ 昭 20 日ごと辺りが賑はしくなり 修 21 幼な名で会話も弾む同窓会 昭 22 焼けぼっくいが燃え盛るごと 修 23 園児らの傘軽やかに梅雨に入る 昭 24 午後の紅茶につまむ桜桃 修 25 封切りの映画も今や郊外で 昭 26 身売りするてふ大船の城 修 27 不埒者この紋所見えないか 昭 28 国体護持に肛門痔瘻 修 29 月昇る銀杏紅葉の木の上に 昭 30 新酒の盃の芳しきかな 修 名残裏 31 軒々に干し柿吊し里の暮れ 昭 32 諸行無常の梵鐘のこゑ 修 33 先々に楽しみ残し貯蓄する 昭 34 残す美田に潅木が生え 修 35 峠来て見下ろす谷の花盛り 昭 36 空穏やかに渡る糸遊 修
「蜜柑」の巻」 岐山連句会
初オ |
店頭のはしり蜜柑や青き風 |
み |
|
台風去って昇る満月 |
昭 |
|
振り向けり虫に呼ばるるここちして |
佐 |
|
冷めた紅茶に溶かす追憶 |
真 |
|
新調のコート身につけ落ち葉踏む |
敦 |
|
春を夢見るたそがれの頃 |
勝 |
|
|
|
ウ |
古本屋ないかないかと目を凝らし |
親 |
|
包み込んだる時間のにおいを |
章 |
|
一つ傘肩寄せ合いて何語る |
曙 |
|
明日の映画は「もののけ姫」よ |
み |
|
監督の替わりて期待のふくらみぬ |
昭 |
|
世界を翔る翼たくまし |
佐 |
|
短日のさざなみに乗る月の舟 |
真 |
|
蛍火ゆれて浮かぶ幻影 |
敦 |
|
青春を遙かに辿り山仰ぐ |
勝 |
|
祭り囃子の響く村里 |
親 |
|
そこかしこ華やぎに変え桜咲く |
章 |
|
|
|
名オ |
傍らに風船ありて添い寝かな |
み |
|
電脳で見るちひろの名画 |
昭 |
|
散る雪に去りゆく背中見送れり |
敦 |
|
どんぐりころころ転げいる道 |
勝 |
|
模擬試験終えて立ち寄る焼きそば屋 |
親 |
|
夫婦ごっこも板につきたり |
章 |
|
五十坂越えて集いし乙女たち |
曙 |
|
嘘と誠がないまぜになり |
み |
|
ひとしきりカラオケに酔い月の暈 |
昭 |
|
銀杏紅葉の散るもまたよし |
佐 |
|
|
|
ウ |
色変えし雲のつぶやき身にしみて |
真 |
|
旅へいざなう異国の便り |
敦 |
|
信長の好きな紅毛黒マント |
勝 |
|
陽光浴びて咲きし蒲公英 |
親 |
|
待ちわびし便りを開く花の中 |
章 |
|
伊良湖の浜に春の潮来る |
曙 |
平成9年12月8日 満尾
「白鷺」の巻
平成九年十二月八日 首
初オ 白鷺や孤高の背に冬の雨
美
凛として行く風さゆる道
敦
客席を出でてピエロは笑みもなし 勝
躍進の鐘ならす若人
親
宙に月町に灯りのあたたさ 章
柿の一箱今年も届く 曙
ウ 鍋気にし本に目をやる秋の夜 み
日記の文字のにじみあちこち 昭
君の名を幾度も書きし硝子窓 佐
行方定めて電話手にする
美
鉢植えに見つけしつぼみ今日の糧 敦
心ひとつのよろこびはあり 勝
夏の月語らう二人映し出す
親
横文字多き避暑地の小径 章
青畳香を楽しみ昼寝する 曙
携帯電話所構わず
み
白き頬ほんのり染まる花のもと 佐
春風に乗る子供の御輿 昭
名オ 競り合いし合格発表土筆出づ 美
祝いの図書券マンガに変わる 敦
摩天楼空低くしてアトム飛ぶ 勝
正義の言葉今やいずこに 親
「野ざらし」の旅にあこがれ咳き一つ 勝
句碑に積もった雪払いのけ
み
手のひらに思い出そっと包み込む 佐
危険な恋も許すムービー 昭
SFも実現可能な新世紀 雪
時の扉をそっと開けり 敦
悠久を渡る望月草千里 美
ここやかしこにすだく虫の音 勝
ウ 手みやげはそばと胡桃の馬籠宿 親
夢で膨らむボストンバック 章
見つめる瞳が見抜く真実
佐
池の鯉向きを変えたり花の昼 昭
木漏れ日はねる春のプリズム 雪
平成10年5月28日 満尾
紫陽花の巻 平成10年6月1日 首 平成10年10月13日 尾 初オ 紫陽花に競い咲けるや傘の波 章 海月が誘う魚のダンス 雪 発表会近づき心はやるらん 昭 去りて輝く誇りと魂 美 かぐや姫今も翁を気遣うか 勝 鳴きゆく雁の姿目で追う 佐 初ウ また今年場所も違わず曼珠沙華 み 新顔に会う朝のジョギング 敦 つながらぬ携帯電話のもどかしさ 親 壁のモンローそっとうつむく 勝 想い出をモノクロ映画が色づける 雪 古書店数軒あのころのまま 昭 寒月の笑みに守られ塾通い 美 明日は開くか山茶花の宿 勝 また一人ヒロイン出づるオーディション 佐 金の卵は今日も輝き み 紺色のスーツ恥じらう花の下 敦 隣の畑に茄子を植えたり 親 名オ 西行の遺跡たどれば春爛漫 み 懐手して望む山々 佐 三井の鐘湖の面遙かに渡りゆき 勝 揺れる銀波に任す鴛鴦 美 高原の野菜の色の鮮やかに 昭 ベゴニアアーチ母の見上げる 雪 四十路坂幼き恋をうらやみて 章 カーナビ頼りて進むドライブ 親 せせらぎの音に澄みゆく旅心 敦 傷み溶け込む白骨温泉 美 ほろ酔いの湯気の彼方に月のぼる 雪 すすき一群軒先にして 勝 名ウ 干し柿のすだれゆらせる風の音 章 人情話に心洗われる 昭 孫や子の自慢飛び交う喫茶店 み 蝶々ひらり窓を出でゆく 佐 み吉野桜花咲く彼方へと 勝 霞添えたる門出の便り 美
連句「早春の巻」
元住連句会
初オ 早春や休日遅々とネット旅 修
壁紙で見る桃の中国 昭
人影もまばらな街に春暮れて 修
演歌歌って二次会帰り 昭
半月が柿の梢を照らしてる 修
そろそろ襤褸(つづり)させと言ふ声 修
初ウ 秋天にただ一直線飛行雲 昭
野道を駈ける少年の頃 修
生首の夢にうなされ泣き通し 昭
不義密通は家の御法度 修
もう一度生まれ変わるもこの人と 昭
蜉蝣の夢白昼の夢 修
甲子園智弁のVで夏終わる 昭
新幹線の走るふるさと 修
当節は画像だけなり美の自然 昭
海峡一帯風のかがやく 修
首あげて亀も見ている花の寺 昭
やはり名物木の芽田楽 修
名オ 古本の市も立ちいぬ春祭 昭
掏摸の手口も少し乱暴 修
ビルゲイツ長者番付桁違い 昭
株価暴落世界一周 修
ミルトンもあの世で吃驚失楽園 昭
職場の恋に一夜焦がるる 修
冬うらら同好の士の絵画展 昭
重なる訃報底冷えの朝 修
屋島より眺めし海の無限大 昭
池に浮かんだ小舟一艘 修
新校舎建設の夢月の暈 昭
楓紅葉の路のかさこそ 修
名ウ 歩み来て峠の茶屋も秋の色 昭
腰の手ぬぐい朴の高下駄 修
段ボール奥にひっそり写真帳 昭
新入社員新たなる旅 修
歓迎の宴の日々に花の咲く 昭
霞棚引く湖の暮れ 修
平成9年2月9日 首
平成9年12月5日 尾
連句「時雨」の巻 元住連句会
平成11年11月28日 起
ベートーベン聞く昼下がりの時雨かな 修
木枯らし一番岐阜の町にも 昭
狐狸むじなむささびも棲む野は荒れて 修
貰ってうれしき結婚通知 昭
灯火を消し満月を招き入れ 修
黄葉フレディー子らも感動 昭
またも赤字国債発行する夜寒 修
二千円札に源氏の絵巻
昭
久々に露かき分ける古女房 修
肉食やめてやはりお茶漬け 昭
黒塀に見越しの松はお決まりの 修
お富も今や眉毛売り物 昭
薫風へ四十九日の読経する 修
墨絵のように見ゆる梅雨月 昭
大和尚の手すさびなども売りに出し 修
お宝なんていつも眉唾 昭
真実は実生若木の初の花 修
春の北斗の悠久のまま 昭
つぶつぶと愚痴をこぼして蜆汁 修
河口堰にはヘドロのにおい 昭
昔からデートの場所と決めてある 修
どんな子供が産まれることか 昭
日産もマツダも外資会社にて 修
頂上目指し上る人たち
昭
転落の事故から数えはや五年 修
スキー場便りネットで検索 昭
珍しきワインもあって冬の宿 修
舶来品に偽物多し
昭
座布団も床几も積んで月見船 修
秋の祭りの準備整う 昭
倉庫には新米俵のごろごろと 修
千年紀への夜明け間近し 昭
忘れてはまた繰り返す小言よな 修
札束届く夢を求めて 昭
村中を残らず呼んで花の嫁 修
ほころび顔に春の駅頭 昭
平成12年1月06日 満尾
歌仙「能登の旅」
北連句会 その1
初オ 能登の旅朝市おぼろ夏の雨 昭
のうぜんかづらに浜風渡る
代
肉太の暖簾の文字のはためきて 昭
しばし解けざる催眠の術 正
月受けて夜光の杯のの白きかな 代
駱駝のの背ナの荷物重たし 昭
ウ ひたすらに水飲み欲りし砂の道 枝
萩の枝にも蕾ちらほら 昭
われの秋君の秋とぞ思ひしに 子
恋の手管も身につきにけり 代
この頃はご難続きの女高生 昭
髪なびかせて横列にゆく 子
落ち鮎の川面に映る山の月 枝
トンちゃん政治に秋風の吹く
樹
湯煙の山を隠して立ちのぼる 徹
雪見の酒に一夜明しぬ 子
桜咲く木地師の里を訪ひて 代
科斗の群れゐる小さき流れ 昭
名オ お地蔵に餅を供ふる春祭り 枝
水戸の老公いづこの宿か 子
冷や水が五年続いて資格取り 代
連衆揃ひて連句再会 枝
でらうまばかり売れて夏逝く 子
セクハラと思はれがちな歳となり
昭
できちゃった結婚よと悪びれもせず 代
西瓜よりメロンが好きと言ふ幼ナ 枝
宿題終わらず時の過ぎゆく 子
アルバムに往時を偲べば月点心 昭
ちちろ鳴くなり小暗き湯殿 代
ウ 煮てもよし炒めてもよし秋茄子 枝
うろうろ歩く廚の夫 子
核実験やめてほしいと現地まで 昭
魚群れなす珊瑚礁の海 代
弁当の色とりどりに花の陰 昭
新入生の顔の華やぐ 子
平成7年8月10日
首
平成7年9月7日
尾
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